平成19年度 加久見城館遺跡群発掘調査の様子と成果について
教育委員会では、土佐一条氏を支えた豪族・加久見氏の歴史を探るため、本市加久見で発掘を行った結果、中世の遺跡を発見し、「加久見城館遺跡群」と命名しました。 「群」がつくのは、加久見には規模の大きい山城跡や、寺跡の存在を示す石造物群があり、互いに関連した文化財とみられるためです。
昨年と本年度の11~12月に、山裾の字宮本で実施した試掘確認学術調査では多数の遺構・遺物が出土しました。それらの特徴をかいつまんで記すと、次のようなことがあげられます。
- 本遺跡の主な活動時期は、鎌倉時代後半(13世紀後半)頃と、室町時代(15世紀)である。
- 県外、あるいは中国から運ばれた焼き物が多く、高級品もある。国産品では愛知や岡山のものがあり、中国製の青磁、白磁、青白磁もある。 13世紀代に遡ることのできる搬入品は多くはないが、京都近郊でつくった特別な土器(瓦器)や、中国製磁器がある。
- 鎌倉時代後半頃では掘立柱建物跡、15世紀後半頃では礎石を持つ建物跡がみつかり、当地に屋敷があったことがわかった。しかも、後者の建物は、礎石を持つ建物としては県下最古の例となる。
以上のような成果から、ここに加久見氏およびそれ以前の豪族(加久見氏の先祖か)の屋敷があった可能性が高くなってきました。 近くの香仏寺にある五輪塔群は四国でも有数の規模を誇っていますが、その中に、神戸・六甲産らしいものが多数含まれていることも分かってきており、加久見地区には優れた中世の遺跡・文化財があることがわかってきました。 これらは同地区の文化的遺産にとどまるものでなく、幡多地域、さらには西日本の海運の歴史を知るための資料として注目を集めており、今後の調査・研究が大切になってきます。
発掘現場の様子
発掘現場の様子
12月7日実施の成果発表会
12月8日実施の現地説明会
発掘された遺物・遺構など
土師質土器
土坑の土師質土器出土状況
建物基礎跡と遺物出土状況1
建物基礎跡と遺物出土状況2
下層(中世前期)堀立柱建物跡
中国製青白磁
天目茶碗
備前焼甕
(平成19年12月13日更新)