中世以南の豪族加久見氏遺跡群の発掘調査について
土佐清水市教育委員会と高知大学・高知県教育委員会が連携して中世以南の豪族加久見氏の遺跡発掘調査を 平成18年11月20日~12月10日の間に、加久見区長場近くの土地を調査し、13~15世紀の加久見氏屋敷跡関連の集石遺構や柱穴及び土坑等を検出することができました。
加久見氏が史料上に登場する15世紀以前の当該地域の歴史については、不明な点が多かったのですが、 今回の出土資料によって以南の中心が加久見であったことなど、中世加久見の歴史的景観を知るための大きな手がかりを得ることができました。
発掘内容
区分 | 種類 | 説明 |
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検出された遺構 | 集石遺構 | 15世紀頃の加久見の加久見屋敷跡の建物に伴う集石跡と考えられている。 |
溝跡 | 13世紀頃の溝跡で、畿内産の瓦器椀の破片等が出土している。溝の性格としては、屋敷を取り囲む溝跡の可能性があるが、現段階では、調査範囲が狭いため明確ではない。 | |
土坑跡 | 13世紀頃の溝跡を掘り込んで15世紀頃造られた穴である。 | |
柱穴跡 | 加久見氏屋敷跡の一部と考えられる柱穴跡で、15世紀段階のものと13世紀段階の二時期のものが確認されている。 | |
出土された遺物 | 土師質土器 | 大量に出土しており、饗宴に使用された製品である。 |
貿易陶磁器 | 青磁・白磁が出土している。青磁は、13世紀後半代から15世紀にかけて中国龍泉窯系の青磁である。白磁は、華南産の白磁で15世紀の製品である。 | |
瀬戸焼 | 15世紀代の平椀が出土しており、この地域では初の出土。 | |
常滑焼 | 15世紀初頭頃の製品で、瀬戸焼と一緒に持ち込まれたものである。 | |
備前焼 | 15世紀代に岡山地方から搬入されたもので、調理具として使用された。擂鉢や、貯蔵容器として使用された壷・甕片が出土している。 | |
瓦器 | 鎌倉時代に畿内の楠葉牧(牧方市)から持ち込まれた椀製品。 | |
瓦質土器 | 冷暖房である火鉢や茶道具である風呂の一部が出土している。 | |
土錘 | 小型の土錘で、加久見での川漁で使用されたものである。 |