○土佐清水市人権を尊重する社会づくり条例
令和2年12月28日条例第37号
土佐清水市人権を尊重する社会づくり条例
土佐清水市人権を尊重する社会づくり条例(平成10年条例第29号)の全部を改正する。
すべての人間は,生まれながらにして自由であり,かつ,尊厳と権利とについて平等である。世界人権宣言にうたわれているこの理念は,人類普遍の原理であり,日本国憲法においても,法の下の平等及び基本的人権の保障について定められている。
この理念の下に,すべての人々がそれぞれ一人の人間として人を大切にし,大切にされる人権尊重の社会をつくることは,私たちみんなの願いである。
しかし,現実社会には,同和問題をはじめ,女性,子ども,高齢者,障がい者,HIV感染者等,外国人,犯罪被害者等,インターネットによる人権侵害,災害と人権,性的指向・性自認などに対する人権侵害の問題が依然として存在している。
特に近年においては,情報化の進展に伴ってインターネット上での悪質な書き込み,真実ではない情報の流布による誹謗中傷などの人権侵害や外国人に対するヘイトスピーチなど,新たな課題が生じている。このような状況の下,国は,平成28年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」を施行,「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」及び「部落差別の解消の推進に関する法律」を相次いで公布・施行した。これらの差別の解消を目的とする法令等の趣旨にのっとり,私たちは,これまで以上に力を合わせてあらゆる人権問題の早急な解決を図っていかなければならない。
ここに,私たちは,様々な人権問題について正しく理解した上で,差別を許さないという意思と行動を示し,そして一人ひとりの違いや生き方を認め支え合い,自由で開かれた共生社会の実現を目指し,人権尊重の社会づくりを進めていくことを決意する。
(目的)
第1条 この条例は,日本国憲法及び世界人権宣言を基本理念として,基本的人権が尊重される社会づくりのため,市及び市民(市内に在住する個人並びに市内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体をいう。以下同じ。)の果たすべき責務を明らかにするとともに,施策の方針に関し必要な事項を定め,同和問題の早期解決のため部落差別の撤廃とあらゆる人権に関する問題への取組を積極的に推進し,もって真に人権が尊重される地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(市の責務等)
第2条 市は,前条の目的を達成するため,人権が尊重される社会の環境づくりと人権意識を高めることを目的とする教育及び啓発に関する施策(以下「人権施策」という。)を積極的に推進し,市行政のあらゆる分野において人権に配慮し,人権尊重の意識の醸成及び高揚に努めるものとする。
2 市長は,人権意識を高めるため,必要に応じて本市における人権に関する実態について公表できるものとする。
(市民の責務)
第3条 市民は,互いの人権を尊重し,自らが人権を尊重する社会づくりの担い手であることを認識するとともに,人権を尊重する意識の向上に努めるものとする。
2 市民は,市が実施する人権施策の推進に積極的に協力するものとする。
(施策の推進)
第4条 市は,部落差別をはじめ,あらゆる差別をなくし,人権を尊重する社会づくりをめざし,人権施策を総合的かつ計画的に推進するため,人権を尊重する社会づくり行動計画(以下「行動計画」という。)を定めるものとする。
2 行動計画には,次の各号に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 人権尊重の基本理念
(2) 人権尊重の意識の醸成及び高揚に関すること。
(3) 同和問題並びに女性,子ども,高齢者,障がい者,HIV感染者等,外国人,犯罪被害者等,インターネットによる人権侵害,災害と人権,性的指向・性自認,その他の人権に関する分野ごとの施策
(4) 前3号に掲げるもののほか,人権施策を推進するために必要な事項
(教育・啓発活動の充実)
第5条 市は,人権を尊重する社会づくりのため学校,家庭,各種組織等と連携を密にし,教育,啓発活動の充実に努め,差別をしない,させない,許さない世論の形成や人権擁護の社会的環境の醸成を促進するものとする。
(実態調査等の実施)
第6条 市は,前2条の施策の策定及びその効果的推進のため,必要に応じ実態調査等を行うものとする。
(推進及び相談体制の充実)
第7条 市は,人権施策を推進するため,国・県及び関係団体等との連携を図り,推進体制の充実に努めるものとする。
2 市は,あらゆる差別に関する相談に的確に応じるため,必要な相談体制の充実に努めるものとする。
(協議会)
第8条 市は,人権施策の策定と推進に関し必要に応じて重要事項を調査協議するため,土佐清水市人権を尊重する社会づくり協議会(以下「協議会」という。)を置くことができる。
2 協議会は,人権尊重の社会づくりに関する事項に関し,市長に意見を述べることができる。
3 協議会の組織及び運営に関する必要な事項は,市長が別に定める。
(委任)
第9条 この条例の施行に関し必要な事項は,別に定める。
附 則
この条例は,公布の日から施行する。