令和5年9月11日の市長室
市長職務代理者提案理由説明書
本日ここに,令和5年土佐清水市議会定例会9月第2回会議の開催に当たり,市政の課題等につきまして,所信の一端を申し述べますとともに,令和5年度補正予算案をはじめとする提出議案等について御説明申し上げ,議員の皆様をはじめ,市民の皆様に御理解と御協力をお願い申し上げます。
泥谷光信市長が9月5日付けで,辞職されました。改めまして,泥谷市長の2期半,10年3か月にわたり市政発展にご尽力されたことに 対しまして,深く感謝申し上げます。
泥谷市長は,市職員として,昭和57年4月に採用されたのち,産業振興課長などを歴任され,平成25年6月8日の市長就任以降,一貫して5つの基本政策を柱とする公約を掲げ,その着実な実現に向け,全力で取り組んでまいりました。
本日は,この場をお借りいたしまして,泥谷市政,約10年間の総括について,簡単にご報告させていただきます。
まず,1つ目の「子どもは宝」についてであります。
保育園の高台移転や清水小学校の改築,市役所本庁舎の耐震化など,南海トラフ地震から命を守る教育環境を推進するとともに,平成30年度には,給食センターを整備し,学校給食を開始されました。
また,保育所及び幼稚園の保育料等を完全無償化したほか,子育てにかかる助成支援や県下市では初めてとなる高校卒業までの医療費無料化を拡充するなど,子育て環境の充実を図り,地域の宝である子どもたちが 元気に育ち,学べる,環境整備に努めてまいりました。
次に,2つ目の「若者は希望」についてであります。
本市の伝統産業である,宗田節加工業を核とした,メジカ産業再生プロジェクト推進事業により,地場産業の魅力を積極的に発信し,事業継続や雇用対策につながる取組を進めてまいりました。
また,令和3年度には,日本ジオパーク委員会から「日本ジオパーク」として認定を受けたほか,竜串エリアの再整備など,地域活性化に向けた取組を積極的に推進してまいりました。
さらに,四国初の取組となる,デジタル地域通貨「Meji-Ca(めじか)」を,令和2年10月に導入し,地域経済の活性化に大きく寄与されました。
次に,3つ目の「お年寄りは誇り」についてであります。
高齢者が住み慣れた地域で,自分らしい暮らしを続けることができる支援体制の構築に向け,生活に必要不可欠な移動手段である,デマンド交通をはじめ,公共交通空白地有償運送の運行を開始したほか,高齢者福祉に関する補助金の創設や介護人材の確保等を推進してまいりました。
また,高齢者の集いや通いの場として利用される,地区の集会所等を平成27年度から順次,耐震補強や改修を行い,これまでに市内32か所の整備を完了しております。
次に,4つ目の「命を守る」についてであります。
防災行政無線システムをアナログ方式からデジタル方式へ移行するとともに,保育所の高台移転や津波避難路の整備,防災関連の補助金創設など,地域住民の皆様と連携を図りながら,命を守る取組を進めてまいりました。併せて,防災拠点施設の整備や物資配送拠点施設,ヘリポート整備等についても実施しております。平成13年9月6日に発生した,高知県西南豪雨災害の記憶を風化させることなく,今後,必ず発生すると言われる南海トラフ巨大地震や近年頻発する豪雨等の自然災害に備え,市民の大切な命を守るため,危機管理課を設置し,災害に強いまちづくりを目指し,様々な取組を進めてまいりました。
次に,5つ目の「絆は力」についてであります。
移住相談窓口や移住者の受入体制の強化など,移住促進の取組を積極的に進めながら,地域おこし協力隊の制度も活用し,地域活性化の推進や定住による人口増へとつなげてまいりました。
また,集楽活動センター下川口家の開所や市内全域における光ファイバー網の整備など,高齢者の生きがいづくりや地域で安心して住み続ける仕組みづくりを進め,活気に満ちた,魅力あふれる土佐清水市を目指し,市民と協働したまちづくりを進めてまいりました。
以上5つの政策に基づく,それぞれの施策や事業について,地域住民や各関係機関の皆様と連携しながら,効果的,積極的に取組を進め,これまでの約10年間を総括しますと,公約は,ほぼ達成されていると思います。改めまして,この間の取組に対しまして敬意と感謝を申し上げます。
泥谷市長が辞職された後は,地方自治法の規定に基づき,新しい市長が選任されるまでの間,私が職務代理者として,市長の職務を代理させていただいております。市政を円滑に運営することが,私たち職員の責務でありますので,引き続き,市民サービスの低下を招かぬよう,職員一丸となり,市民の皆様のため,全力で職務に当たってまいりますので,議員の皆様におかれましても、御理解,御協力いただきますよう,心からお願い申し上げます。
さて,9月に入り,本格的な台風シーズンを迎えております。
先の7月28日に発生した台風6号では,当初「8月初旬には,沖縄周辺を通り,中国大陸に進む」とされていた予報が,高気圧の壁に行き先を阻まれ,いったん通過した沖縄・奄美地方へ再びUターンするなど,異例の進路をたどりながら右往左往し,14日間もの長期間にわたり停滞,迷走し続けました。
気象の専門家でさえも的確な進路予報が難しい状態であったことからも,改めて「自然の脅威」や「事前の備えの大切さ」を痛感いたした次第であります。
幸いにも,本市には大きな被害はありませんでしたが,沖縄地方や九州南部などの西日本では,長引く台風の影響から,停電や浸水害等の大きな被害が発生し,県中部においても,線状降水帯の発生に伴う土砂流出や倒木など,広い範囲で大きな被害が発生いたしました。
さらに,その後,近畿地方を縦断するよう北上した台風7号や熱帯低気圧の影響で,大雨や強風により,人的被害や住宅被害が相次ぐなど,各地で大きな被害をもたらしました。
この度の災害により,お亡くなりになられました方々の御冥福をお祈りするとともに,被災した皆様に対し,心からお見舞いを申し上げ,一日も早い復旧・復興を願うものであります。
本市におきましても,地震や豪雨等の自然災害に備え,更なる防災体制の強化に努めていく所存であります。議員各位におかれましても一層の御支援,御協力をお願い申し上げます。
次に,毎年恒例の「夏季大学講座」についてであります。
夏季大学講座は,市民の生涯学習の場として,豊かで生きがいのある郷土づくりの実現と市民生活の向上を図るため,昭和41年にスタートしました。毎年,国際情勢や生き方,防災,人権,健康など,幅広いテーマの中から,各分野の著名な講師をお招きし,開催しております。
本年度も,タレントの堀ちえみさんを皮切りに,ジャーナリストの辺真一(ピョン・ジンイル)さん,作家の夢枕獏さんを講師陣としてお招きし,第56回目となる講座を開催し,市内外から多くの方が受講されました。各講座とも,受講者の知的好奇心を満たす,大変興味深いもので,これからの人生をより豊かに過ごすヒントを与えてくれたのではないかと存じます。
中でも,最終日に登壇された作家の夢枕獏さんは,2年越しの企画がようやく実現した,念願の講演となりました。夢枕さんは「陰陽師」などの作品で知られ,映画化やドラマ化された作品も多数存在する人気作家でありますが,この度の講座では「ジョン万と清水の魅力を語る」と題し,高知新聞など7紙で連載,書籍化された,ジョン万次郎を語り手とした長編小説「白鯨 ⅯOBY-DIⅭK(モービィ・ディック)」に関する講演を行ってくださいました。
なお,貴重な直筆原稿は,2年前,市へ寄贈いただき,現在は「ジョン万次郎資料館」にて展示,公開しております。
次に「市民祭あしずりまつり」についてであります。
去る8月5日,新型コロナウイルス感染症5類移行後の大きなイベントとなる「市民祭あしずりまつり」を,昨年度に引き続き,規模を縮小して開催しました。
開催当日は,保育園児による太鼓の演奏や,清水中学校音楽部によるステージで幕が開き,ずらりと並ぶ屋台村の賑やかな雰囲気に包まれる中,約6,500発の花火が打ち上げられました。
花火会場である清水港は,花火の打ち上げ場所と観客の距離が近く,三方を山に囲まれているため,音が山に反響し,体の芯まで響く,臨場感あふれる花火を楽しむことができ,毎年,市内外から多くの皆様にご来場いただいております。今年も,迫力満点の頭上花火が次々と上がるたび,いたる所から大きな歓声が上がり,観衆を魅了しました。
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが,本年5月8日から,5類へ移行された後は,各地のイベントも再開され,徐々にコロナ禍前の状態へ戻りつつありますが,一方では,感染者増加など,心配な状況も続いています。
マスク着用など,基本的な感染対策については,個人の判断に委ねられることとなりましたが,医療機関や人混みの中など,マスクの着用が効果的である場面などでは「感染しない」「感染させない」という意識を持ち,予防することも大事だと感じております。市民の皆様におかれましても御理解,御協力をお願い申し上げます。
なお,本市の新型コロナワクチンの「秋開始接種」につきましては, 10月2日から,医療機関での個別接種を開始いたします。特設会場での集団接種につきましては,12月に実施する予定であります。
対象者は,ワクチンの初回接種を完了し,追加接種を希望する,生後6か月以上の方となりますが,初回接種も引き続き実施しますので,希望される方は,接種の検討をお願いいたします。特に重症化リスクが高い方は,御自身を守るためにも,積極的な接種をお願い申し上げます。
次に,御寄贈の報告をいたします。
土佐清水ライオンズクラブ様から,今年も市内の赤ちゃんが誕生した御家庭に対し「土佐清水に生まれてくれてありがとう」の気持ちを込めて,バスタオル30枚の寄贈をいただきました。所管課を通じ,各家庭へお渡しいたします。
埼玉県在住の小倉 正(おぐら ただし)様から「子どもたちが楽しんでくれることを希望します」との思いから,絵本「ゆーポンとあそぼ!!」を寄贈いただきました。学童保育や放課後子ども教室等で大切に使わせていただきます。
御寄贈いただきました皆様に対し,この場をお借りしまして,厚く御礼申し上げます。
続きまして,地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づく健全化判断比率及び資金不足比率について報告させていただきます。
令和4年度決算に基づく健全化判断比率のうち,実質赤字比率及び連結実質赤字比率につきましては,例年どおり赤字ではないため,数値は出ておりません。
また,実質公債費比率は,昨年度から0.8ポイント改善し,16.6パーセントで,早期健全化基準の25パーセントを下回っております。
将来負担比率につきましては,昨年度から14.4ポイント改善し,65.7パーセントで,早期健全化基準の350パーセントを下回っております。
次に,公営企業の資金不足比率につきましては,水道事業会計,再生可能エネルギー事業特別会計のいずれも資金不足が生じていないため,数値は出ておりません。
引き続き,中長期的な視点で効率的な財政運営に努めてまいりますので,皆様の御支援,御協力を賜りますようお願い申し上げます。
それでは,御提案いたしました各案件につきまして,概要を御説明申し上げます。
報告第6号は,参議院議員「徳島・高知選挙区」補欠選挙の実施に伴い,地方自治法180条第1項の規定に基づき,令和5年度土佐清水市 一般会計補正予算(第4号)について,8月2日付けで専決処分した報告であります。
議案第41号から議案第45号までは,令和5年度予算に係る補正予算案であります。
議案第41号「令和5年度土佐清水市一般会計補正予算(第5号)」は,インバウンド向け体験型観光のコンテンツ造成事業にかかる経費として700万円,観光客集客に向けた取組として,あしずり港交流拠点施設の一部を「鰹の藁焼き体験施設」へ改修するための経費として462万円,総務省消防庁が実施する「令和5年度寄贈救急自動車事業」の採択を受け,寄贈される救急自動車1台の艤装等に必要な経費として2,156万2千円,宿毛市陸上競技場の改修事業設計費にかかる補助金として44万5千円を計上しております。
また,本年は,豊見城市と姉妹都市を締結し,30年目に当たることから,豊見城市において記念行事を実施するための経費として68万4千円を計上しております。
このほか,4月の人事異動等に伴う人件費の減額補正として2,755万1千円,財政調整基金積立金1億2,500万円など,歳入歳出それぞれ合計で1億4,196万2千円を補正計上し,一般会計予算総額は,103億2,207万3千円となります。
特別会計では,4会計につきまして,補正予算案を計上させていただきました。
議案第42号「令和5年土佐清水市介護保険特別会計補正予算(第1号)」は,本年4月の人事異動に伴う人件費のほか,令和4年度の事業費確定に伴う返還金等を計上しております。
議案第43号「令和5年度土佐清水市後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号)」,議案第44号「令和5年度土佐清水市特別養護老人ホームしおさい特別会計補正予算(第1号)」及び議案第45号「令和5年度土佐清水市水道事業会計補正予算(第1号)」では,本年4月の人事異動等に伴う人件費の補正予算を計上しております。
議案第46号から議案第52号までの7件は,令和4年度土佐清水市一般会計歳入歳出決算及び各特別会計の歳入歳出決算の認定についてであります。
議案第53号は,企業版ふるさと納税制度により,企業から御寄附いただいた寄附金を積立てることができるよう,新たに基金を創設するため,条例を制定するものであります。
議案第54号は,会計年度任用職員の給与改正について,正規職員と同様の取扱いとするよう,条例の一部を改正するものであります。
議案第55号は,令和5年4月1日から個人情報保護制度が1つの法律に統合され,土佐清水市個人情報保護条例を令和5年3月31日をもって廃止したことに伴い,条例の一部を改正するものであります。
議案第56号は,令和5年2月21日,消防法施行規則及び総務省消防庁の省令が改正されたことに伴い,条例の一部を改正するものであります。
以上をもちまして,議案提出に当たっての説明を終わります。
なお,詳細につきましては,所管課長から説明をいたしますので,何とぞ御審議の上,議決を賜りますようお願い申し上げます。
令和5年9月11日
土佐清水市長職務代理者
土佐清水市副市長 磯脇 堂三