平成27年9月2日の市長室
市議会9月会議
平成27年土佐清水市議会定例会9月会議の市長提案理由説明書から抜粋して,所信の一端を申し述べさせていただきます。
先ず,新聞報道等で最近よく取り上げられている大規模太陽光発電(メガソーラー)整備計画についてであります。
御承知の通り,大岐地区に引き続き,浦尻地区とグリーンハイツ地区の境界付近での整備計画も明らかになり,この整備計画に対し,両件ともに住民組織による反対署名運動が展開されてきました。私は,これまで何度も市としての立場を申し上げてきましたが,国の法律や県の許認可など法令を遵守して行う土地事業に対し,市に規制できる権限はありません。しかしながら,市としても指導的立場を強化するため,県内市町村初となる設置事業者への指導要綱を定めました。事業者の責務として,関係法令遵守はもちろんのこと,周辺の自然環境・生活環境に十分配慮し,近隣住民との良好な関係を損なわないこと,また事前に市長との協議の場を設けること,事業内容・工事施工方法等について地元説明会を開き,近隣関係者との協議を行うことなどを盛り込んでおります。東日本大震災での原発事故以降,全国的に再生可能エネルギーが推進され,本市でも太田残土処分場や中浜清掃センター跡地の有効活用として,また高知県の「こうち型地域還流再エネ事業」にも官民協働で取り組んでまいりましたが,景観保全などの問題に対し,一定の規制や指導強化が必要であるという考えのもと,要綱制定に至ったものであります。ただし,この「土佐清水市再生可能エネルギー発電設備設置指導要綱」には法的拘束力は無いため,今後は全国的にも起こりうるこのような問題に対し,国の規制強化と法整備を求める要望活動を行うとともに,外部有識者の意見も参考にしながら,独自の条例制定に向け「検討委員会」を立ち上げておりますので,御理解のほどよろしくお願いいたします。
次に,地方創生の取組についてであります。5月から6月にかけて市内15か所で住民座談会を開催し,7月21日からは2巡目の住民座談会を明9月2日まで開催することとしております。また,この間,高校生を含め市内の20代・30代の若い世代を対象とした「清水の将来を考える会」も2回開催するなど,様々な年代の方々から幅広く,地方創生に向けての,地域活性化・人口減少に対する意見やアイデアをいただき,これらを反映させながら,「土佐清水市版総合戦略」の策定作業をすすめてまいりました。本市の総合戦略は,国・県の総合戦略とも整合性を図り,基本目標を「基幹産業の復興により安定及び新たな雇用を創出する」「人の流れを創出する」「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「人と人とのつながりを強め,くらしを守るとともに地域のにぎわいを創出する」,以上4項目を掲げております。
また,事業毎(ごと)に5年後の成果目標を設定し,その成果目標を達成するために必要となる具体的施策・事業などについて記載した内容となっております。この本市総合戦略は,最終的に,「産」「官」「学」「金」「労」「言」の外部委員等により組織する検討会議に諮り,来月国へ提出する予定であります。
次に,去る7月31日に,清水中学校と清水高校の20人の生徒が議員となり,執行部に対し施策等について直接質問を行う「中高生みらい議会」を開催し,少子化対策・環境問題・雇用対策・観光振興・災害対策など,議会さながらに様々な質問戦が繰り広げられました。この取組は,中高生が自ら考え判断し,問題を解決する力や生きる力を育み,ふるさと土佐清水市の一員としての自覚や社会への参加意識を高め,次代を担う子ども達のまちづくりや,市政に対する思いや夢を行政に提案・反映させていくことを目的に実施したもので,市政に対し興味を持ち続けてもらう意味でも,大変有意義であり,今後も継続して実施したいと考えております。
続きまして,明治末期から昭和にかけて,本市からブラジルへ移住した方々を追悼する慰霊祭が同国サンパウロ市で行われ,今回この式典に招待をうけ,斧積地区関係者の皆様とともにブラジルを訪問しました。土佐清水市長としましては,1980年(昭和55年)の矢野川市長以来,実に35年ぶりの慰霊祭出席となりましたが,式典では遠い異国・ブラジルの地でお亡くなりになられた郷土出身者の御霊に対し,謹んで哀悼の誠を捧げ,心からの弔辞を述べさせていただきました。今年で37回を数えた土佐清水市出身者慰霊祭。ブラジルで暮らす1世から4世の移住者とその子孫150人が参列して盛大に挙行されましたが,日本のブラジル移民のなかでも,毎年単独で開催しているのは土佐清水市出身者だけとのことであります。移民者同士の交流を取り持つ,文野雅甫会長の行動力・御尽力に心より感謝申し上げます。
今回のブラジル訪問では,4泊8日という強行日程のなか,ブラジル高知県人会主催による,オザスコ市およびサンパウロ州の関係者を招いての歓迎会やブラジル日本都道府県人会連合会主催の「日伯120年の絆」をテーマとした「第18回日本祭りフェスティバル・ド・ジャポン」への参加など,大変中身の濃い訪問となりましたが, 1910年(明治43年)にブラジル移民として新天地に活路を求め,海を渡って以来105年の歳月が過ぎ,斧積地区を中心に約60家族300人が移住したとお聞きいたしました。ふるさと土佐清水市を離れ,苦闘の末にブラジルで日系社会を築いたことに対し,心から敬意を表しますとともに,今回ブラジル慰霊祭に参加し,改めて日本人の強さ,奥ゆかしさ,そして土佐清水市出身者の絆を感じたところであります。
ブラジル高知県人会をはじめ,文野会長や関係者の皆様にはひとかたならぬ御厚情をいただき,心より御礼申し上げます。
続きまして,「プレミアム商品券」と「ふるさと旅行券」につきまして,御報告いたします。
先ず,商工会議所で発行しております「プレミアム商品券」につきましては,6月15日から販売を開始し,皆様にご購入いただき,1か月後の7月17日に完売し,8月20日現在での利用率は60%余りと聞いております。この「プレミアム商品券」は市内154店舗で利用でき,利用期限は11月14日までとなっておりますので,期限までの御利用をお願いいたします。
次に,観光協会で発行しております「ふるさと旅行券(ゴールドラッシュクーポン)」は,7月1日から販売を開始し,8月17日に完売しているとのことです。こちらは,宿泊券と商品券がセットとなっており,宿泊券は市内30施設,商品券は市内49店舗で利用でき,利用期限は平成28年1月31日までとなっております。
この「プレミアム商品券」と「ふるさと旅行券」事業は,地方創生関連事業として,市内での消費喚起を目的として実施しているもので,商圏が消滅した本市にとりましては,商圏を少しでも取り戻す起爆剤になることを期待するとともに,本事業が一過性で終わることなく,市内での更なる消費拡大に繋がる施策の展開を今後検討していきたいと考えています。
以上,9月会議にあたって,市政の課題等について報告させていただきましたが,市民の皆様におかれましては,何卒御理解・御協力をよろしくお願い申し上げます。
平成27年9月2日
土佐清水市長 泥谷 光信