吉福家は、紀州印南浦から来た出稼ぎ海民であったと推測されます。初代吉福嘉太郎(1832-1884)は、松尾浦の有力廻船商人の俵屋栄之助が逝去したことをきっかけに独立して吉福屋を立ち上げました。47歳のとき日向細島浦から玄米三百石を持ち帰り、米の不作だったこともあり高値で飛ぶように売れ、この利益が吉福家の資産の元手となったのです。
本住宅は明治33年(1900)8月の銘が梁の墨書きにあり、翌年に棟上げされ、二代目吉福嘉太郎の自宅として建築された建造物です。建物は木造切り妻造りの平屋建て厨子二階付き構造で、屋根は桟瓦拭き、外壁は下見板張り・堅羽目板張り・土佐漆喰塗りでできています。外回り東側は段差のある石垣(花崗岩)による防風壁が築かれ、主屋・倉・門・離れの建物を守っています。東側の座敷が書院造りで武家風空間、北側の帳場出窓は格子戸となり商家風空間、土間は使用人が食事や作業を行った網元屋敷風空間が表現されています。また天井板は釘が使用されておらず、天井裏は大漁を祈願した船の櫓が仕込まれており、雨樋は銅製であり、当時としては贅を尽くした屋敷でした。
近世鼻前七浦の廻船商人の繁栄とその生活を今に伝える唯一の現存する建築物です。
詳細情報
国指定文化財 | |
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種別 | 有形(建造物) |
指定年月日 | 平成11年5月13日 |
所在地 | 土佐清水市松尾字女川サキ209番地2 |
所有者等 | 吉福 雄一 |
形状 | 木造切り妻造り平屋建て厨子二階付き構造 |
問い合わせ先 | 生涯学習課 |
電話番号 | 0880-82-1257 |
メールアドレス | syougai@city.tosashimizu.lg.jp |