この絵巻は、下ノ加江市野瀬地区にある真念庵に伝えられた弘法大師の一生の行状を描き、解説を付した高野大師行状図画と呼ばれるもので、慶長16年(1611)・慶長19年(1614)及び元和2年(1616)の年記があります。真念庵には、当時三種一組十巻として納められたものと言われていますが、10巻のうち6巻がかろうじて全体を残している以外は、虫害や湿気による破損・欠落が多く第7巻は完全に失われています。
画風の異なるこの絵巻は、①狩野孫右衛門尉正末(カ)、②中村南征(カ)、③長谷川左近輝敏の3名の署判が見られます。②は慶長16年4月25日、亡婦の四十九日の供養のために書き、3年後の慶長19年の同日に現当二世の安楽と後世善処を祈って記したとされています。③は雪舟と等伯の後継者を名乗る絵師で、元和2年に松平忠義の命により製作したとされています。この行状図画が真念庵に残された理由は、この地が四国巡拝の38番札所金剛福寺への「打ちもどり」の要地であったためと言われ、大師信仰の一端を知る資料としても貴重なものです。
詳細情報
土佐清水市指定文化財 | |
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種別 | 有形(絵画・彫刻) |
指定 | 昭和47年4月30日 |
指定番号 | No.59 |
所在地 | 土佐清水市天神町11番15号(中央公民館) |
所有者等 | 市野瀬地区 |
形状 | 全10巻 (幅約33cmの巻物) |
問い合わせ先 | 生涯学習課 |
電話番号 | 0880-82-1257 |
メールアドレス | syougai@city.tosashimizu.lg.jp |